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2026.03.27 コラム

オーバーツーリズム対策とは?原因や考えられる施策、事例を紹介

日本国内のインバウンド数(訪日外客数)が過去最高を更新する一方で、オーバーツーリズムの問題が顕著になっています。北海道も札幌、小樽、ニセコなどインバウンド需要が高い観光名所が多く、オーバーツーリズム対策の重要性が指摘されるようになりました。

今回は、オーバーツーリズムの概要や原因を解説した上で、具体的なオーバーツーリズム対策の施策例などをご紹介します。この記事を最後までご覧いただければ、北海道で有効なオーバーツーリズム対策の基本が見えてくるでしょう。

 

「オーバーツーリズム」とは

オーバーツーリズムとは、観光客の急増により、地域の受け入れ能力を超過する現象です。具体的には、次のような問題が顕在化します。

<オーバーツーリズムで発生する問題>
・交通渋滞
・過度な混雑による顧客満足度の低下
・マナー違反による住民生活の悪化
・環境破壊 など

これらの問題により、観光地の魅力そのものが損なわれるリスクがあります。

 

日本でオーバーツーリズム対策が注目されている理由

オーバーツーリズム対策が注目される背景には、コロナ禍を経た訪日客の回復・集中が挙げられます。これにより一部エリアで混雑が常態化し、旅行者の満足度の低下が懸念される状況に追い込まれました。観光庁も「適切な対処が必要」と指摘しており、実情に応じた具体策を講じるよう指示・支援をおこなっています。

 

オーバーツーリズムが起こる主な原因

有効なオーバーツーリズム対策を知り、適切な対策を講じるためには、まずオーバーツーリズムが起こる原因を知る必要があります。ここでは、主な原因を3つ見てみましょう。

 

SNSや口コミによる来訪の一点集中

InstagramやTikTokといったSNSで「映えスポット」が拡散され、観光客が有名スポットに殺到することは、オーバーツーリズムの大きな原因の一つです。有名スポットだけが混雑し、周辺エリアに人が流れにくい構造になると、地域全体の観光が想定どおりには機能しません。

また、SNSは情報拡散のスピードが速く、地域の受け入れ体制が追いつかないこともオーバーツーリズムに拍車をかける要因といえます。民間や行政による対応が遅れ、オーバーツーリズム対策が間に合いません。いわゆる「富士山ローソン」の問題でも対応が後手に回り、“幕をかけて視界を遮る”といった対策が物議をかもしました。

 

交通・導線・受け入れ体制の不足

駐車場不足や公共交通のキャパシティオーバー、歩行者動線の未整備といった問題が混雑を悪化させます。広大な北海道では、どうしてもシャトルバスやタクシーといった二次交通が不足しがちです。例えばニセコでは2km以上の渋滞が発生するケースも多く、夕食難民が発生する事態にも陥っています。

 

地域住民と観光施策のバランス崩壊

騒音、ゴミ、私有地侵入、交通渋滞などが発生し、地域住民の生活に悪影響を及ぼすケースも珍しくありません。地域住民と観光客が対立する構造が生まれると、観光産業に対する理解を得にくくなるでしょう。結果としてオーバーツーリズム対策が円滑に進まず、オーバーツーリズムが悪化するおそれもあります。

 

オーバーツーリズム対策として考えられる施策例

有効なオーバーツーリズム対策として考えられる施策例は大きく4つです。それぞれのポイントを確認し、実現可能なオーバーツーリズム対策が何か検討しましょう。

 

観光客を時間・場所で分散させる

時間帯や場所を分散させ、観光客の集中を防ぐオーバーツーリズム対策が有効です。例えば小樽運河の場合、「早朝ツアー」の提案により、人気が集中しがちな夜間の観光客数を減らせる可能性があります。周辺エリアへの周遊を促進したり、二次交通を整備したり、別ルートを提案する方法もよいでしょう。

 

ルール整備とマナー啓発を進める

多言語案内、看板、Web・SNSでの事前周知など、ルール整備とマナー啓発を進めるオーバーツーリズム対策も必要です。特に異なる文化圏の国からの訪日の場合、マナー違反であることを知らずに迷惑行為に及ぶ場合があります。これらの問題は、明確なルール整備とマナー啓発により防げる可能性があるでしょう。

 

データ活用で混雑を見える化する

AIやGPSのデータ活用により、混雑を見える化するオーバーツーリズム対策も効果的です。来訪データ分析を活用し、混雑情報を配信すると、一部の観光客を別の観光地へと誘導できる可能性があります。リアルタイムで混雑情報やクーポンを配信できるデジタルマップの導入も検討するとよいでしょう。

 

必要に応じて料金・入場制限を導入する

観光税や訪問税など、必要に応じて料金を変動させるオーバーツーリズム対策も有効です。例えばフランスのルーブル美術館では、欧州居住者以外の来館者に高い入場料金を設定する「二重価格」を導入しています。 予約制や入場制限の導入なども、混雑緩和を実現させる有効な手段です。

 

北海道におけるオーバーツーリズム対策例

北海道内でも、すでにオーバーツーリズム対策が進められています。いくつかの成功例をご紹介しましょう。

まず美瑛町は「白金青い池」や「クリスマスツリーの木」などが映えるスポットとして注目され、路上駐車や渋滞などのトラブルが深刻化しました。これらの課題に対応するため、美瑛町では「美瑛町オーバーツーリズム対策協議会」を設立しています。協議会では、バス駐車台数やトイレの増設といった対策により、混雑や待ち時間を緩和。さらに、警備員の配置やデジタルサイネージの設置により、観光マナーの向上を促しています。

次にニセコ町は、冬のスキーと夏のアウトドア需要が重なり、年間を通しての二次交通不足が課題となっていました。これに対応するため、隣接する倶知安町では「ニセコモデル」を推進。タクシー台数の増強や無料シャトルバスの運行、スマートごみ箱の設置といった対策により、混雑とマナー違反の両方に対応しています。

最後に小樽市では、小樽市内は『Love Letter』の舞台として韓国で知名度が高く、朝里駅周辺は中国映画のロケ地としても知られており、主に中国人・韓国人観光客が増加。朝里駅近くの線路内に立ち入って撮影をおこなった観光客が列車と衝突し死亡するなど、重大な事故も経験しています。

小樽市は船見坂や駅周辺の警備員を増員するなどの対策を実施したほか、地元の若者が中心となり「オタルネクスト100実行委員会」を発足させ、忍者に扮した啓発動画をSNSで発信するなどの対策を講じました。また、小樽駅前などの観光拠点にデジタルサイネージを設置し、マナー啓発に向けた動きを加速させています。

 

まとめ

オーバーツーリズムは、インバウンドを含む観光産業が成功したことの証です。しかし、オーバーツーリズムが観光客の満足度を低下させたり、地元住民と観光客の関係性を悪化させたりするケースも見られます。小樽ではオーバーツーリズムに起因する死亡事故も発生しており、オーバーツーリズム対策が不可欠な状況です。

北海道におけるインバウンドビジネスは、エスビージャパン株式会社までお問い合わせください。弊社は海外50拠点にネットワークを作るプロジェクトを成功させるなど、インバウンド対策を得意とするグローバルカンパニーです。15年以上にわたる地方創生、インバウンドPR支援実績をもとに、最適なオーバーツーリズム対策をご提案します。

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