世界からも評価される日本独自の巡礼の道【遍路旅動画編】
四国の八十八ヶ所、近畿に広がる三十三所、地域に根づく小さな霊場。日本各地には、静かに受け継がれてきた巡礼の道があります。
歩く人もいれば、バイクや公共交通を使う人もいる。回り方は一つではなく、その土地ごとに表情が違います。
実際にいくつか挑戦してみると、そこには観光とは少し異なる時間が流れていました。作法を学び、般若心経を唱え、土地の空気を感じながら進む道のり。急ぐ必要もなく、型にはまるものでもありません。
そうして見えてきたのは、観光とは違う日本の姿でした。
これまで挑戦してきた遍路・巡礼の記録を通して、その魅力を紹介します。
遍路は初心者でも挑戦できるのか
遍路という言葉には、どこか「厳しい修行」という響きがあります。四国八十八ヶ所をすべて歩けば長距離になりますし、白装束で巡る姿を思い浮かべる人もいるでしょう。
ただ、実際に巡ってみると、そのイメージだけでは語れないと感じました。
移動手段は歩きに限りません。スーパーカブで札所をつなぐ方法もあれば、電車やバスを使いながら回る人もいます。
数年かけて区切りながら巡る人もいて、必ずしも一度で結願しなければならないわけではありません。
参拝の作法や納経も、基本を知っていれば難しいものではありません。
大切なのは、完璧を目指すことよりも、自分のペースで向き合うこと。修行というより、土地と静かに対話する旅に近い。そう考えると、遍路は思っているよりも遠い存在ではありません。
初心者におすすめの遍路・巡礼動画5選
巡礼の入口は、歩くかどうかより「どんな距離感で、どんな空気の中を進むか」で印象が変わります。
四国のように道そのものが巡礼になっている場所もあれば、西国のように観光地と重なるルートもある。さらに、町の中に小さくまとまった地域版もあります。
ここでは、実際に巡った5本を並べてみました。
逆打ち・通し打ちで四国遍路をスタート
うるう年の逆打ち(88番→1番)で四国遍路を走り出します。移動はスーパーカブで、徳島には遍路用のカブを格安でレンタルできる店があるのも現実的でした。
逆打ち・通し打ちの違い、参拝の流れなど、初めての人がつまずきやすい部分も噛み砕いて解説。
香川県の札所が中心で、骨付き鶏や、うどんバカ一代の「釜バターうどん」など、いわゆる“旅の食”もきっちり入っています。善通寺では初めての宿坊へ。
ビールを頼めるのが意外で、チェックインが17時までという現実にもぶつかります。
四国遍路を結願し、高野山で満願へ
後半は歩きが中心になり、難所として知られる「遍路ころがし」の一つ、焼山寺も参拝します。
夜は阿波踊り会館で生阿波おどりを観戦。道中にも、土地の文化が混ざってくる感じがいい。逆打ちの最後は、1番札所の霊山寺で結願します。
四国を終えたあと、弘法大師への報告として高野山へ向かい、満願までの流れが収録されています。
距離の長い西国三十三所巡礼に挑戦
次の舞台は、近畿にまとまっているように見えて意外と距離がある西国三十三所。
参拝の作法もレクチャーしつつ、関西の古刹をテンポよく巡ります。
寺によっては入場料や駐車料金、まれに通行料まであり、気づくと出費が積み上がっていくのが正直なところ。
勝尾寺の無数のだるまは必見です。一方で、有名寺が多く土日は参拝が大変でした。
巡礼では般若心経を唱える空気があるのに、観光寺ではその雰囲気が薄くて戸惑う場面も出てきます。
西国三十三所を満願まで巡る旅
京都では清水寺も札所に含まれ、本堂へ向かう参道は観光客やインバウンド、修学旅行生であふれていました。
読経をしたくても、人の流れに押されて思うように進まない。巡礼と観光が重なる場所ならではの難しさもあります。
それでも道は続きます。三重では松阪牛を味わい、道の駅ではウミガメと出会う。
最後の札所・華厳寺で満願を迎えたとき、距離よりも積み重ねてきた時間の重みが残りました。
地域版遍路・篠栗八十八所を歩きで巡る
四国まで足を延ばせなくても、巡礼の道は各地にあります。その一つが、福岡・篠栗町に広がる八十八所。町の中に札所が点在しており、総距離はおよそ40kmです。
今回は歩きで挑戦しました。山道だけでなく、住宅地の中を抜ける札所もあり、日常と巡礼が重なります。長距離というより、時間をかけて町を味わう感覚に近い。
遠くへ行かなくても、暮らしの延長線上に巡礼の時間はつくれるのだと気づかされました。
初心者はどの巡礼スタイルを選ぶべきか
実際のところ、同じ回り方をしている人のほうが少ないくらいです。歩き、バイク、公共交通、区切り打ちなど。
選び方次第で、感じ方も疲れ方も変わります。まずは、何を求めているのか、どこまで無理をしないか。その目安から考えてみます。
体力に自信がある人
歩いて進むと、起伏や天候をそのまま受け取ることになります。焼山寺のような難所を越える場面もありますが、その分、札所と札所のあいだの景色が強く残る。
日数を確保できるなら、区切りながら積み重ねるやり方も現実的です。
時間が限られている人
移動にバイクや公共交通を使えば、負担を抑えながら札所を巡れます。徳島で遍路用カブを借りる選択肢もありますし、混雑する寺は時間帯をずらすなど段取りで調整も可能です。
結願を目標にしつつ、日程に余白を残すほうが続きます。
旅として楽しみたい人
道中も含めて、この旅は成り立っています。香川の骨付き鶏や「釜バターうどん」、三重の松阪牛、道の駅での寄り道。
宿坊で過ごす夜も印象に残る時間です。信仰と土地の文化が交差する瞬間を味わうなら、移動手段は柔軟でかまいません。
精神的な区切りを求めている人
結願や満願は、分かりやすい到達点になります。四国を終えて高野山へ向かう流れのように、自分なりの節目を設定するのも一案です。
急がなくていいし、一度で回らなくてもいい。区切りを持ちながら進むことで、道は長く続いていきます。
一気に回らなくてもいいという選択
八十八ヶ所や三十三所を「すべて回り切る」ことが前提のように感じるかもしれません。結願や満願という区切りがあるからこそ、最後まで進む意味が強調されます。
けれど、一度で終えなければならない決まりはありません。仕事の合間に数カ所ずつ巡る人もいれば、年に一度の休みに進める人もいます。歩きだけでなく、バイクや公共交通という選択もある。
寺や風景、声に出す般若心経の時間は、急いだから深まるものではありません。無理のない日程で生活の延長に置くほうが、続きます。
遠くの霊場でも、身近な遍路道でもかまいません。完走だけが価値ではない。それでも、ちゃんと巡礼です。
まとめ
巡礼は、日本各地に静かに続いています。四国、近畿、そして地域に根づく霊場。それぞれ距離も空気も異なりますが、共通しているのは、自分の歩幅で向き合えるということでした。
歩くか、走るか、区切るか。方法に決まりはありません。完走を目標にしてもいいし、途中で立ち止まってもいい。自分に合う形で続けられれば、それで十分です。
四国では、3か月かけて歩き通す海外の巡礼者にも出会いました。その旅は、すでに世界から注目される文化でもあります。
次に目指しているのは秩父三十四ヶ所、そして台湾遍路。まだ続きがあります。
日本を知ることのできる巡礼の旅を、これからは海外にも伝えていきたい。そんな思いも、この道の延長線上にあります。
📺 YouTubeチャンネル
動画「ひでさんジャーニー」
英語版 TripTip Japan
