海産物の輸出は中小企業でもできる?現状・始め方・注意点をわかりやすく解説

海外では日本食ブームが加速しており、日本産海産物の需要が高まっています。成長の機会を得るために、海産物の輸出を検討中の日本企業や自治体は多いでしょう。しかし、海産物の輸出にともなう注意点は多く、リスクも正しく把握したうえで販売戦略を立てなければなりません。
この記事では、日本における海産物輸出の最新現状から、海産物輸出を成功させるポイント、そして事前に知っておくと良い注意点までわかりやすく解説します。海産物輸出に向けて、安心して第一歩を踏み出すために、この記事を参考にしていただければ幸いです。
日本における海産物輸出の現状
日本の海産物輸出は、近年着実に伸びています。特に2025年は過去最高を更新し、中小企業にもチャンスが広がっています。まずは最新の数字で海産物輸出の全体像を把握し、主な輸出先や売れやすい品目の傾向を確認しましょう。
数字で見る日本の海産物輸出の動向
農林水産省によると、2025年の農林水産物・食品全体の輸出額は1兆7,005億円となり、前年比12.8%増の過去最高を更新しました。その中で水産物の輸出額は4,231億円(前年比17.2%増)と、初めて4,000億円を突破しています。これは全体の約25%を占める大きな割合です。
主な輸出先と売れやすい海産物の傾向
海産物の輸出先として特に多いのは、米国、香港、台湾、韓国、ベトナムなどです。これらの国や地域では、日本産海産物の安全性と品質が高く評価されています。特に韓国や台湾とは地理的な距離が近く、海産物を新鮮なうちに届けられるため、有望な市場のひとつと考えると良いでしょう。
具体的に伸びているのは、ホタテ、ぶり、たいなどの品目です。特にホタテは前年比30%増となる906億円、ぶりは前年比27%増となる528億円を売り上げています。前年比の上昇率が高いその他の海産物としては、さんま、いわし、スケソウダラなどが挙げられます。
中小企業に海産物輸出チャンスがある理由
海産物輸出の分野は、中小企業にも十分にチャンスがあります。大量生産品だけでなく、地域性や希少性、品質の高さで勝負できるためです。海外では日本食レストランや高級食材として日本産海産物の需要が高く、健康志向や外食需要も追い風となり、中小企業にも勝機があります。
企業が海産物を輸出する方法とポイント
中小企業を含む日本企業や自治体が海産物を輸出する際は、無理なく始められる方法を選び、現地ニーズに合わせた準備を進めることが大切です。ここでは、具体的な輸出方法と、成功するためのポイントを解説します。
直接輸出か間接輸出かを決める
まずは直接輸出と間接輸出のどちらを利用するか決めましょう。直接輸出は、利益率を高めやすい一方で、規制対応や販路開拓の負担が大きいことが特徴です。一方の間接輸出には、国内商社や輸出商社を通すため、初めてでも始めやすいというメリットがあります。
海産物輸出の経験がない中小企業の場合は、間接輸出から始める選択肢が有効です。間接輸出の手段としては、輸出商社や地域商社、輸出協力企業の利用や、商談会への参加、マッチング支援サービスの利用などがあります。専門的な知識を持つパートナーの力を借りると、初めての海産物輸出にも成功しやすいです。
輸出に向く商品かをチェックする
自社商品が輸出に向いているかを事前に確認しましょう。鮮度保持と温度帯、賞味期限と商流、供給量と継続性、現地ニーズとの相性が重要なチェックポイントです。たとえば冷凍加工品や真空パック品は輸送中の品質低下を避けやすく、継続提供できる量を確保しやすいため、輸出との相性が良好です。
ターゲット国の規制とニーズを調べる
国ごとに必要書類、衛生証明、施設認定、表示ルールが異なります。事前にターゲット国の最新情報を調査して、規制とニーズに適合する商品かどうかを判断しましょう。この調査を怠ると、通関で物流がストップし、正常な取引ができなくなるおそれがあります。ビジネスの根幹に関わるため、早い段階での確認が必要です。
販路開拓は売り込み先を絞って進める
販路開拓では、現地卸、レストラン、日系スーパー、高級小売、ECなどを候補に絞り、価格・ロット・供給条件を明確に提示できるように準備しましょう。適切な売り込み先を自社で絞り込めない場合は、コンサルタントの活用がおすすめです。自社の商品に合った販路を的確に選び、効率的な見込み客の発見につなげます。
中小企業が海産物を輸出する際の注意点
海産物輸出では「輸出したい」という意欲だけでなく、輸出できる状態かを事前に確認することが重要です。ここでは、海産物の輸出で失敗しがちなポイントを3つご紹介します。それぞれのポイントをクリアしたうえで事業を展開すると、思わぬトラブルに巻き込まれるリスクを低減し、自社の売上をさらに高められるでしょう。
国・地域ごとに規制が大きく異なる
同じ海産物でも、輸出先によって必要手続きや書類が大きく異なります。事前に各国の最新規制を確認しないと、計画が狂う可能性があるため注意しましょう。
JETRO(日本貿易振興機構)では、国・地域別に見た輸入規制の情報などをわかりやすく提示しています。たとえば「米国食品安全強化法(FSMA)」に関する情報も、定期的に更新しています。同一の国・地域と長く取引を続ける場合、法律の改訂が思わぬ障壁となる場合もあるため、情報をアップデートすることも大切です。
物流コストと品質維持を軽視しない
海産物は物流費が利益を圧迫しやすいことが特徴です。たとえば、鮮度を保つために冷蔵・冷凍の体制を強化すると、追加の物流費用が発生することもあり得ます。一般論としては、航空便は鮮度を保ちやすい一方でコストが高く、船便はコストを抑えられる一方で現地到着までの日数を要する輸出方法です。
一方で、低コスト性を重視しすぎると商品の鮮度が落ち、信頼低下や取引停止に追い込まれるリスクがある点にも注意しなければなりません。物流コストと品質保持の両方を重視して、航空便・船便の選択、梱包、温度管理、リードタイムを考慮した採算計画を立てましょう。
自社だけで抱え込まず、支援機関を活用する
自社だけで抱え込まず、農林水産省・水産庁・中小企業庁・JETROなどの支援を積極的に活用しましょう。商談会やセミナーといったイベントは、中小企業のビジネスにおいて大きなヒントを得るチャンスです。マッチングサービスや補助制度にも活用の余地があるため、自社で利用できる制度があるか確認しましょう。
まとめ
海産物の輸出は伸び盛りの事業であり、中小企業のみならず大企業でも販路の確保が不可欠です。輸出の経験がない企業の場合、ノウハウが豊富な国内企業の支援を受けられる「間接輸出」を選ぶと良いでしょう。地域特有のニーズや規制などの情報を得たうえで取引を持ち掛けると、大きな成果が期待できます。
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