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2026.06.01 コラム

農産物輸出とは?企業が始める方法と成功のポイント、注意点を解説

農産物輸出は、日本の企業・自治体や生産者にとって、国内市場の縮小を補う有力な成長戦略のひとつです。しかし、農産物輸出を検討している一方で、「どのように販路を確保すると良いかわからない」「トラブルが不安で輸出に踏み切れない」といった悩みを抱えている方も多いでしょう。

この記事では、日本における農産物輸出の現状から、企業が実際に輸出を始める方法、成功のポイント、そして失敗を避けるための注意点までをわかりやすく解説します。限られたリソースで海外市場に挑戦したい生産者・事業者の参考になれば幸いです。

 

日本における農産物輸出の現状

後述するデータにより、日本の農産物輸出は“伸びている市場”と考えて問題ありません。ただし、日本の農産物だからといって、誰でも簡単に売れるわけではありません。安定した売上を確保するためには、前提として的確な国選定と規制対応を済ませる必要があります。

 

数字で見る日本の農産物輸出の動向

農林水産省によると、2025年の農林水産物・食品全体の輸出額は1兆7,005億円に達し、前年比で12.8%増加しました。その中で農産物単独の輸出額は11,008億円と大きな比重を占めており、これは全体の約65%に達する数字です。

2015年のデータを見ると、農産物輸出額は4,431億円にとどまっており、わずか10年間で3倍に届くほどの飛躍的な成長を遂げたことがわかります。政府は農林水産物・食品全体の輸出を2030年までに5兆円へと引き上げる目標を掲げており、関連企業や生産者にとってまだまだ伸びしろのある市場です。

 

主な輸出先と売れやすい農産物の傾向

主な輸出先として挙げられるのは、米国、香港、台湾などです。これらの国や地域では、日本で生産される食品は安全・安心というイメージが強く、有力な取引先となります。

売れやすい農産物としては、米・緑茶・果物など、“日本らしさ”と“品質訴求しやすさ”のあるものを挙げられます。これらは海外における「和食ブーム」との親和性が高い食品であり、日常使いだけでなく、ギフト需要も満たせる農産物です。

 

中小企業にも農産物輸出のチャンスはある?

事業規模が小さい中小企業や小さな自治体だとしても、農産物輸出のチャンスは十分にあります。専門的な知識が豊富な商社や輸出事業者の活用により、販路に関するノウハウを持たない中小企業でも、自社の強みを活かして農産物輸出に乗り出せるでしょう。

特に近年は越境ECやテスト輸出といった、中小企業に適した販売ルートが成熟しました。加工品や保存性の高い商品であれば、越境ECを通じて海外の消費者に販売できる可能性があります。(生鮮品の場合は、植物検疫や温度管理、配送日数を慎重に確認する必要があります)

1回あたりの輸出量を抑えた小ロット輸出からスタートし、反応を見ながら事業規模を拡大する戦略も有効です。

 

企業が農産物を輸出する方法とポイント

企業を含む日本企業や自治体が農産物を輸出する場合は、代表的な輸出方法を知り、ポイントを押さえた販売戦略を立てることが大切です。ここでは、そのために重要なポイントを4つご紹介します。

 

農産物を輸出する代表的な方法を知る

農産物の主な輸出方法は、商社・輸出事業者経由、現地バイヤー直販、越境ECの3つです。商社経由は手続きを一任できるため初心者に適しています。現地バイヤー直販は利益率を高めやすいこと、越境ECは小ロットからテスト販売ができることが主なメリットです。

 

現地ニーズを調べ、商品設計を見直す

日本で売れている商品がそのまま海外で売れるとは限りません。現地ニーズを調べ、味・容量・価格・パッケージ・表記言語を見直す必要があります。たとえば台湾では和食が人気ですが、特に支持されているのは、塩気を抑えて現地風にアレンジした「日式」と呼ばれるジャンルです。

 

物流・保存・温度管理まで含めて輸出設計する

農産物は鮮度が命です。輸送中の温度管理や保存方法をしっかり設計しないと、到着時に品質が落ちて、味や信頼を損なうリスクがあります。海上輸送と航空輸送を使い分けたり、冷蔵コンテナを利用したりなど、輸出する農産物の特色に合った物流計画を立てましょう。

 

支援機関を活用して、小さく始めて検証する

セミナー、商談会、レポート、専門家相談などの手段を活用し、小さく始めて効果を検証しましょう。最初から大きく投資すると、失敗した際のダメージが大きく、立て直しを図れなくなるリスクがあります。テスト輸出を行い、改善点を整理したうえで本格展開する流れを選ぶと安心です。

 

企業が農産物を輸出する際の注意点

中小企業を含む日本企業や自治体が農産物を輸出する場合、まずは「輸出できる状態か」を確認することが大切です。ここでは、企業が農産物を輸出する際の注意点を4つご紹介します。失敗しやすい事例を頭に入れたうえで、成功率を高めやすい販売戦略を練りましょう。

 

輸出先ごとの規制・検疫条件を必ず確認する

植物検疫、輸出検査、輸入許可の有無は国や品目によって異なります。必要書類や条件を事前に把握しないと、通関で止まる可能性があるため要注意です。特に植物検疫、輸出検査、輸入許可の有無を調べましょう。該当する規制がある場合は、検査を通過するために必要な書類や条件を整理してください。

 

残留農薬・添加物・表示ルールの違いに注意する

日本基準を満たしていても、輸出先の基準が厳しく、輸出できない場合があります。特に確認すると良いのは、残留農薬や添加物の許容値、表示義務などです。

たとえば、農林水産省では「諸外国における残留農薬基準値に関する情報」などを公開しています。行政機関が公表する、信頼できるデータと照らし合わせながら、基準値をクリアできるか確認しましょう。

 

為替・価格設定・代金回収リスクを確認する

価格設定には物流費、関税、手数料、返品リスクを反映させましょう。また、為替変動や代金回収の未回収リスクにも備え、契約条件や貿易保険の加入も検討することをおすすめします。

貿易保険とは、日本の企業が海外取引を行う際に、輸出不能・代金回収不能といったトラブルをカバーする保険です。日本政府が100%出資した株式会社日本貿易保険(NEXI)が運営するため安全性が高く、万一の際に大いに役立ちます。

 

ブランド模倣や産地価値の毀損にも備える

商品名、ロゴ、品種名などの知的財産保護を意識し、地域ブランドは地理的表示保護(GI)制度の活用を検討しましょう。これらの財産が流出すると、無断で悪用され、企業が将来的に得られる利益が損なわれるおそれがあります。また、自社のブランド価値を守ることが、長期的な信頼関係の構築にもつながります。

 

まとめ

日本の農産物輸出は、2025年も過去最高を更新する勢いで伸びています。農産物輸出は中小企業においてもチャンスが多い分野です。特有の注意点をケアしたうえで現地ニーズに合わせた商品設計を行うと、業績アップにつなげやすいでしょう。

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